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2006年03月07日

Ⅰ-1. ミニマム主義とは①

 風来の農業経営の根本にはミニマム主義があります。これが私の根
底であり、この考え方なら独立農家へのハードルがすごく低くなるの
ではないかと考えています。

 ミニマム。直訳すると「最小」「最小限の」である。つまりミニマ
ム主義とは小さい農家でいきましょうということです。あわよくば面
積拡充なんて考えているのと最初からコンパクトで行こうでは、投資
額も違えば効率も変わってきます。

 面積、規模などある程度制限することによって土地活用、時間の効
率もアップします。また大きな機械を買う必要がないので借金する必
要がなくなります。そして地域の人間関係も小さいということでスムー
ズでです。目指すところはコンパクトといったところでしょうか。

 今この日本で会社か何か起こそうとすると莫大な資金とノウハウが
必要になります。しかし最小単位で出来るもの。それが農業です。

 現代の農業というと大型化、拡大化、機械化がどんどん進んでいま
す。どれもこれも資金のいる物ばかり。そうしなければ食べていけな
いような錯覚を与えてくれます。また国もホイホイと金を貸してくれ
る始末。(もちろん返さなければいけませんが)

 果たして大型化する必要があるのでしょうか?まずはそこから
考える必要があるのではないでしょうか。

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2006年03月08日

Ⅰ-1. ミニマム主義とは②

 農家が自己紹介したり、農家同士が挨拶する時には必ずと言ってい
いほど耕作面積を言います。しかし規模イコール耕作面積というのも
考えてみればおかしな話です。

 普通の企業でも工場の大きさや店舗の大きさを語る時もあります
が、経営規模は別の話ですよね。特に日本の農業では耕作面積と売
り上げ、いわんや収入が比例するわけではありません。

 私はサービス業出身になります。サービス業はまさに川下の発想で
成り立っています。目の前のお客さんにいかに喜んでいただけるか、
そこから順に遡り、どのようなものを作ればよいのか、価格はどうし
ようかなど考えます。

 その川下の発想を経営に当てはめたのがミニマム主義になります。
今の経済では右肩上がりを前提に考えられていて、昨年より上にさら
にその上へとキリがありません。

 何のためにどのくらいもうけるのか、その「何」が農業にかかわら
ず、今の日本に欠けている視点ではないでしょうか。

 ミニマム主義ではその「何」は「幸せ」です。幸せに暮らすにはど
のくらいの収入があればよいのか、そのためにはどのくらいの売り上
げが必要なのか。そうやって考えていくとやる事がどんどん明確になっ
ていきます。

 農的暮らしを目指すとなるとついつい「金なんて関係ない」となり
がちですが、そこが間違いです。お金とシッカリ向き合う。そこで初
めて地に足がついてきます。

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2006年03月09日

Ⅰ-1. ミニマム主義とは③

 ミニマム主義ではお金と向き合うけど、キリがない欲望には付き
合わないのが前提です。

 そもそも欲には2種類あります。「自然な欲」と「欲が欲を生む欲」
です。自然な欲とはその欲を満たすと満足するものです。それが当
たり前と思われていますが違います。例えば空腹。お腹がいっぱい
になると(欲望が満たされると)もうどんなご馳走が出ても食べた
くなくなります。(欲望が消える)こういうのが「自然な欲」です。

 「欲が欲を生む欲」とは例えばお金。以前新聞で読みましたが、
どの年収層でもあと2割収入が欲しいというアンケート結果がのって
ました。つまり持てば持つほどさらに欲しくなるもの。それが「欲
が欲を生む欲」です。今の日本社会ではそれが極端に現れています。
電化製品もこれ以上何を望むのか、それでもどんどん購買意欲を煽
られてのせられてしまいます。そう、今ほとんどの欲は「欲が欲を
生む欲」つまり作られた欲です。

 元々農業は生産物に限りがあります。自然の恵み以上には穫れま
せん。例えばお米を例に挙げると、一年で穫れる量はある程度決
まっていて、次の収穫までの間、現物が増えることはありません。
また時間がたてばたつほど、古米になっていきますので手元におい
ておいてもいいことはありません。貯めておけるお金とは根本が違
います。

 そう農業は今の経済至上主義とは本来相容れないものなのです。
そのあたりを理解すると農が楽しくなります。キリのない「欲が欲
を生む欲」には見切りをつける、受動的でなく能動的に生きる。そ
れがミニマム主義です。

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2006年03月10日

Ⅰ-1. ミニマム主義とは④

 もちろん私はミニマム主義の実践者です。3反(30a)の畑という日
本一小さい農家として生計を立てています。もちろん直売や加工、
あってのものですが、それでも良く驚かれたりします。

 普通の専業農家さんだと稲作で10ha以上、野菜農家さんで3ha
以上といったところでしょうか。私の10倍の面積ですね。そこで
数字上ですが、果たして3反で食べていけるのか?を計算してみま
しょう。例として無農薬で白菜を育ててそれを浅漬けして販売する
ことにしましょう。

 白菜を年間2作育てるとして1作30aで7200玉獲れます。1玉から
白菜の浅漬けを作り、それを1パック180gの重さにすると6パック
取れます。1パック卸し120円とすると1作で7200×6×120円=
5184000円

 肥料や農業用品、調味料、袋、樽、重しなどかかる経費を50万と
すると半年で手元に残るのが4684000円。1年で930万円の収入と
なります。

 まあ実際はそんな簡単にいくはずはありません。しかし数字上の
問題というならば大型農業も同じです。日本では1町歩(1ha 100m
x100m)での米作粗収入は144万円、この中の37%(53万円)が所
得になると言われています。計算上は30ha作ると1590万円の所得
が得られるという事になります。

 しかし、そんなうまくいっている農家はそういません。それなら
ミニマム主義農家も同じであろうという声が聞こえてきそうですが、
以下の点が大きく違います。

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2006年03月14日

Ⅰ-1. ミニマム主義とは⑤

 ミニマムで行くとリスクが違います。大型化をすすめていくと
安い労働力がない日本では機械化せざるをえません。機械とはす
なわち借金の固まりです。そして機械化をしたからといって日本
の事情では人の手に頼る仕事も少ないとは言えません。すなわち
人件費もかかります。また農業である以上天候に左右される事が
多く、もし不作であってもかかる費用は出ていきます。

 そして多く作物を育てれば育てるほど売り先の確保が必要とな
ります。大手卸しなどを通すとマージンもバカに出来ません。大
量生産は大量仕入れですので副材料、資材の原価が安くなると思
いがちなのですが、それはまやかしです。

 ミニマム主義農業は基本的に機械化を進めません。つまり借金
の元がありません。また販売も上記の白菜浅漬けの例を取ってみ
ると1日230パックの販売をすれば良いということになります。230
パックというと商売をしていない人にとっては多く感じると思い
ますが少し本気になればクリアできる数字です。

 まあこう書くとミニマム主義も良いことばかりのようですが、
あくまでもミニマム主義であることを忘れないでください。

 30aで930万円になるなら、倍の面積を耕し人を雇えば収入が倍
になるというものではないからです。

 でも農的暮らしを楽しみたい。ストレスのない生活をしたい。
そんな方にはピッタリな方法です。

2006 03 14 | この記事へのリンク