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2006年06月05日

Ⅱ-3. いざ開業①

 研修も終え、いよいよ独立!!。というものの農業の場合はまず
は種蒔きから・・と先の長い話し。

 そこで研修先に行っていた地域で知り合わせていただいた米農
家さんのところでアルバイトすることに。今考えるとこのワンクッ
ションがよかったよう思います。

 どんな職業でも独立となると力が入ります。しかし農業は先に
も書いたとおり、仕事(種蒔き・土作り等、畑仕事)はあっても
収入(収穫)がかなり先になります。しかも収量も保証がありま
せん。特に技術がないので不安だらけである。

 農業、特に無農薬や有機農業をやるとなると、特に男の場合ロ
マンが先走りがちです。事実私もそうでした。せっかく無農薬農
業をやるのであれば空気や水のきれいなところでやりたい!!。な
んて思ったものです。

 しかし研修中、多くの農家に出会い、またニュージーランドで
の経験から「里には里の使命がある」と思うようになりました。

 山の中で農業というと想像するだけで男としてはそそられます
が、それではもしうまくいっても自分だけが幸せなだけ。自分が
感じた農のよさも伝えたい。それが里の農家の使命であると思え
てきました。

 まあそうはいっても先立つものはない。アルバイトさせてもらっ
た、そのお米農家さんは23世紀型農業ということでとても雰囲気
がよく、志もある会社でした。そこでの経験もとても糧になりま
した。

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2006年06月06日

Ⅱ-3. いざ開業②

 まだまだ漠然としていたミニマム主義への想い。でも農業経営
をしていくにあたり無借金でやろうとは思ってました。命の元で
ある「食」を直接育てている農家。その農家が無借金だと心がか
なりフリーにいられるのではないかと思いました。

 無借金で出来る範囲ということで30アールの畑でやることに。
このぐらいの大きさがまさに絵に描いた大きさだと思ったからで
す。後から聞いたら農家の証である認定農業者は最低30アールの
耕作面積をもたなければならないとのことでした。(県によって
は50アールや2へクタールのところも30アールは最小基準です。)

 自他共に認める日本一小さい農家というのはこのあたりから発
しています。そして野菜はどんな野菜を育てるかの計画です。

 漬物、特にキムチをメインに作ろうと心に決めていました。そ
こでキムチ、漬物にとってどんな白菜がよいのか。これこそせっ
かくの農家。品種を選び育て方を漬物用にすることが出来ます。
そこから真の川下からの発想が出てきました。

 畑には白菜をメインにニンニク、ニラを育てることに。また自
給自足型も目指していたのでいろいろな野菜を育てることにしま
した。

 畑をしながらアルバイトで米農家さんにもいきましたが、苗農
家さんのところにも行きました。ここで品種の重要性を改めて知
りました。独立してからも出会いに救われました。

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2006年06月07日

Ⅱ-3. いざ開業③

 風来という屋号は独立する時に考えたものです。親父さんやお
袋さんには○栄農場や西田農産が分かりやすい(本名は西田栄喜
なので)といわれましたが、それには抵抗がありました。

 風来という名称自体は漠然と考えたのですが、ひとつ思ってい
たことはどんなものに変化しても使えること。

 農家「風来」、漬物屋「風来」はもちろん、喫茶「風来」、農
家民宿「風来」、ビストロ「風来」などなど将来的のどんな風に
も発展出来る名前にしようと決めました。

 サービス業出身ということで川下から見るクセがあるのでこん
な発想になったのかもしれません。まあ風(色々な方)が沢山来
て欲しいという願いもありました。

 さて屋号も決めて、さあ独立ということでアルバイトと並行し
ながらの本格準備。

 まずは道具や機械を揃えることからスタート。それにしても今
の農業は最初に莫大な資金がかかりますね。そこが新規参入者に
とっての高いハードルになっているよう思います。

 しかし風来は最初から漬物、キムチをメインにするというのが
頭にありましたので農業機械だけでなくトータルで考えることが
出来ました。

 今なら100万円で起農出来たろうな、と自信はあります。

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2006年06月08日

Ⅱ-3. いざ開業④

 農業を始めるのに買うものは何?

 農機具、農業機械、農地、倉庫などが真っ先に思いつきますね。
農機具はもちろん、農業機械も多岐に渡っています。

 さて風来の場合はというと先に書いたとおり、漬物販売という
最終川下から考えました。

 そこで最初に買ったのが、漬物の袋に張るラベルを印刷するた
めのパソコン&プリンター(パソコンは後にネット販売で大活躍!!)
が15万円、次に真空パックにする機械15万円、2坪のウォークイン
冷蔵庫80万円、最後の最後に農業機械、管理機(乗用でない耕耘
機の小型版)10万円のしめて120万円です。

 加工場は母屋の車庫を利用しました。天井を張り、蛍光灯を設
置してつぶれた料理教室の料理テーブルを設置して出来上がり。
改造費はしめて5万円。

 今考えるとネットオークションもあるしパソコンや冷蔵庫も安
くなっているので100万円でおつりがくること間違いなしです。

 まあ先述したとおり、農業の場合は最初販売出来るまで、また
軌道に乗るまで時間がかかりますのでその間の生活費が一番かか
るかもしれませんね。

 私の場合は前職の蓄えもあり借金せずに独立出来ました。実感
として借金のない農業こそ強いものはありません。何しろ気楽で
す。気楽というのは経営的にもですが、借り先との人間関係がな
いという点でも自由に出来きます。日本農業の場合は借りるとこ
とはほとんどJA(農協)になります。そうなると金も出すけど
口も出されます。その結果これまでの農家の二の舞になること間
違いなしです。

 いずれにせよこれから農業を目指す人間は非常に有利だと言え
ますね。少なくとも農業の借金がないのだから。

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2006年06月09日

Ⅱ-3. いざ開業⑤

 農業新規参入者にとっての一番の武器は、これまでにとらわれ
ない発想としがらみのなさです。

 農業というのは土地から離れられませんので地域のしがらみは
必ずあります。しかしそれに合わせていては自分が思っていた農
業はなかなか出来ません。

 地域ももちろん大切ですが、地域の外にもネットワークを広げ
ることが肝心です。それが結果的に地域を変える起爆剤にもなり
ます。

 地域を変えるのは「よそ者」、「若者」、「ばか者」とよく言
われますがその通りだと思います。

 私もこのネットワークに本当に助けられました。それこそ販売
先からハウスなどの農業資材、農業技術、業者の紹介などなど。

 農業技術というと以前は地域の農業普及所などがありました。
今もありますし、頑張ってらっしゃる方もいますが、これだけ多
様化した農家についてこいというのは大変です。

 そしてネットワークで助けられたのが良い素材の入手先。その
農家にとってB級品でも安全でおいしいというものが沢山あります。
お金を使わず足を使う。ミニマム主義農家はまさにこれですね。

 例えば、キムチに使うキズりんごを無農薬農家さんから格安で
分けていただいたり、いらなくなったハウスをもらったり。これ
も規模が小さいからできた技ではないかと思います。

 顔が見えるといいますが、素材の入手先の方の人間性も分かる。
だからうちのキムチはそんな意味でも自信をもってお奨めできま
す。

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2006年06月12日

Ⅱ-3. いざ開業⑥

 農家にとってついてまわるのがいわゆる「にわとりが先か卵が
先か」。売り先を確保してから育てるか?、実ってから販売する
か?

 売り先が確保されていると安心なのですが、農業はなにせ自然
に負うことが多いので、契約した数の倍は種蒔きをしなければな
らなくなりこれが結構なプレッシャーになります。

 かといって実ってからでは遅すぎます。なにせ生もの、お米な
ど穀物ならまだ保つのですが、どんどん悪くなっていってしまい
ます。

 市場なら全量引取りをしてくれるのでしょうが、こちらは最初
から眼中にありませんでした。新規参入、しかも無農薬栽培では
出すだけ悲しいものがありますし、市場出荷で大丈夫なら既存の
農家が苦労はしていないでしょう。

 今は直売市なども増えてきましたが、その当時はあまりありま
せんでした。

 そういった意味でよかったのが漬物から入ったということ。野
菜はなんとか市場でひきとってもらえるかもしれませんが、漬物
は引き取ってもらえません。

 漬物を売るには売り先を自分で見つけなければなりません。こ
れがよい経験になりました。農家直売店から自然食品店さん、スー
パーなど色々と周りました。そして漬物をおかせてもらうように
なってから見た目のよい野菜が出来た時は野菜もおかせてもらう
ようになりました。

 何より直売店や自然食品店に直接おかせてもらうことで、お客
さんの意見や反応が聞けました。そしてお店の人の意見も参考に
なりました。お客さんに磨かれた。今の風来があるのはまさにそ
のおかげです。

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2006年06月13日

Ⅱ-3. いざ開業⑦

 メイン商品にしようと思ったキムチ。白菜から育てるといって
も育つまで待つ間に市販の白菜で何度も試作を重ねてました。

 基本はお袋さんの味、地域の人に愛されてきたキムチです。そ
のままのお袋さんの味でも充分おいしかったのですが、世代の味
覚の違いか少し甘みの強いのが気になりました。

 せっかく白菜から育てているのだから野菜の味も感じられるよ
うなものにしようと思いました。そしてバーテン時代にマスター
から教えられた「後味がよくて、毎日でも飽きないものが本物で
ある」ということに重きをおきました。日本人が毎日食べ続けら
れる味。まさに試行錯誤の上、ようやく満足のいくキムチが出来
ました。

 お袋さんに教えながらも本で知識を得ての繰り返し。白菜、素
材、塩加減、温度など微妙なバランスでした。

 あの当時は時間があったな~と今は思いす。よくTV番組でタ
レントが課題を与えられて集中して打ち込むというのがあります
ね。ああいった番組をみると、タレントはやはり違うな~と思う
かもしれませんが、1週間とことん打ち込むとどんな人でもどんな
事でも形になると思いました。必要なのは確信でしょうか。

 あとはお客さんに鍛えに鍛えられました。特に「辛味」「甘味」
はもっとも分かりやすい味覚でこの2点についてはよく言われまし
た。ともすれば芯からズレそうなときもありましたが、基本は後
味・食べ続けられる味の大元にたちかえり今の味になりました。

 こちらの基本がブレないと固定ファンの方もついてきて、その
方々の声でより確信を得てきます。素材の味などさらによくしよ
うという思いはありますが、今ではブレない味作りになっていま
す。

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2006年06月14日

Ⅱ-3. いざ開業⑧

 白菜も収穫スタート、それに合わせてキムチ作り。いよいよ販
売。といっても最初は農家直売店さんに置いてもらい委託販売。
時には知り合いの農家の直売店さんに小型ショウケース用冷蔵庫
を持ち込んで販売をさせてもらいました。(今考えるとかなり強
引だったな~)

 そのうちに他の野菜も穫れてきました。自給自足型農業という
のがありましたので漬物素材になる野菜を中心にしながら色々な
野菜を育てました。当初は20種類ぐらいでしょうか。余談ですが
育てていて気持ちがいいものなど野菜を育てるにも相性があるな、
と思いました。

 さてその野菜、虫食いが少ないなどよいものが出来た時は、漬
物をおいてもらっているお店で販売させていただきました。普通
とは逆ですが、自分で売り先を開拓したので出来た技ですね。

 当初はどこで販売したら分からず、色々なところに声をかけま
したが、次第にどんな形態が自分のお店に合っているか分かるよ
うになってきました。

 スーパーにもおいてもらいました。売り上げは悪くはなかった
のですが、こちらの商品特性、こだわりを伝えられず、また当た
り前ですが、お客様からの声も聞こえてこない、そしてマージン
も高いということでスーパーさんとのお付き合いは一切やめまし
た。もし続けていたら別の道を歩んでいたかもしれません。

 やってよかったと思えたのが引き売り。軽のワンボックスに野
菜、漬物を積んで夕方から新興住宅地で販売。最初はなかなか売
れませんでしたが、ホントいい経験でした。いざとなればこうやっ
て売れるんだという安心感も出ました。

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2006年06月15日

Ⅱ-3. いざ開業⑨

  何はともあれ農家として独立して、スタートできました。畑か
ら加工から販売、そして経理まですべて手探り状態で、今考える
ともったいないことをしていたな~と思うことも多々あります。

 しかしひとつひとつ実践して体で覚えたので応用も利くように
なったのだと思います。

 それぞれハードルはあったのですが、独立農家としてスタート
するのに一番重要なのは売り先でしょうか。その売り先、売り方
でその後の農業形態、生活まで変わってきます。

 拡大路線は農家の本質として違うと最初から思っていた身とし
ては、色々な誘惑(人によってはチャンスかな)を乗り越えるこ
とが出来ました。

 独立農家になるためには「お金」「農業技術」「農地」「企画
力」「販売力」のうち2つが抜けていれば出来ると思います。抜け
ているといってもそんな大げさなものではありません。「お金」
というのも2~3年暮らしていける程度でしょうか。

 他産業から参入する身としては「農業技術」や「農地」は既存
農家さんにはかないません。そうなると他産業から参入するのに
有利なのは「企画力」「販売力」となります。

 そしてそのふたつは楽しい農業に直結するものでもあります。

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2006年06月16日

Ⅱ-3. いざ開業⑩

 サービス業からまったく畑違いの農の世界へ飛び込んで独立。
親の土地もあったしそういった意味では恵まれていたと思えます。

 それでも農家としてスタートを切れたのはやはりネットワーク
の力が大きかったように思います。徒手空拳で飛び込んだ世界。
自然相手の農の世界では頼りになるのは先人の教え。そういった
意味では公的機関の研修からスタートするのも手ですが、そうす
ると頼るところがひとつになってしまいます。またそれらの機関
は多様性(例えば無農薬栽培など)についていっていないのが
現状です。また研究のプロであっても経営のプロではありません。

 その点、自分でネットワークを広げた場合、色々な事例を参考
に出来きます。また農家の世界は他では考えられないくらい懐が
広く、受け入れてくれます。

 私自身、起農してここまで思い通りに、好きなスタイルで出来
たのは借金、販売を公的組織、大きな組織(農協等)に頼らなかっ
たのがよかったと思います。

 もちろん公的機関もJAを敵視している訳ではなく、むしろ色
々助けてもらっている。ただこれからの農家はそういったところ
とは冷静に付き合える距離感が大切です。

 有機農業というスタイルは多少難しいかもしれませんが、起農
するだけであるというならこの農家不足の時代、意外に簡単に出
来ます。それこそよってたかって支援してくれます。しかし自分
の思ったスタイル、また農業自体持続していくのはなかなか大変
なようです。これからは長く続けていくコツを書いていきます。

 ミニマム主義農家にとって起農はゴールではありません。幸せ
に生きるための手段であり起農はそのスタートラインにたったと
いうことです。やり方によっては幸せに一番近い産業が農業であ
ると今では確信しています。

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