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2006年07月03日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ①

 農業研修を1年経て起農。研修と実践はまるっきり違うというこ
とまた学びが非常に多くありました。やはり独立すると見る目が
違ってきます。

 いずれにせよ、今も農業をやり続けているというのはやはり楽
しいからでしょうね。そして農のおかげでこれまでに知りえなかっ
たことに多く出会いました。

 さて独立した、起農した、といっても農家の場合はすぐに販売
出来ることも出来ず、収入もゼロ。それどころか資材費で持ち出
しになります。

 こんな時は焦らずアルバイト。自分の場合は研修時代に知り合っ
た稲作農家さんでした。ここには多くの人が集っていて、これも
また刺激になりました。

 農業法人でのアルバイト。稲作農家さんということで文字通り
畑違いではありましたが、同じ土・自然が相手。また近隣農家さ
んの情報も得ることができました。

 時間がある時は試作のキムチ・漬物をもって売り込み。今では
直売率が非常に高くなりましたが、その時はスーパーさんにも置
いてくれるよう何件もたずねました。

 でもこの時にターゲットにしていたのが農家の直売売店ばかり
だったのが今ではよかったたと思います。もし大手スーパーさん
なんかに卸していたら自分も思いもよらぬ方向へ行っていたかも
しれません。

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2006年07月05日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ②

 独立して一番心配なのが農作物の生育、そして販路です。とに
かく最初は収入がないので不安になり色々なところに販路を求め
ます。

 販路を求めるとなると最初は心配ですが、行動あるのみ。目を
つけた直売所やスーパーなどにアポイントをとっての交渉。私も
飛び込みで色々行きました。

 今にして思えば幸いだったのがほとんど直売所さんや自然食品
店に声をかけたことです。結果的にそれがミニマム主義が出来る
土壌だったと思います。

 拡大したくて拡大した訳ではないというパターンの農家さんを
数多くみてきました。

 販路を求める時、最初はそんなに売れませんので次々と声をか
けます。1店舗から5店舗、10店舗というぐあいに。そうこうする
うちにそれぞれの店で売れてきます。そうすると一気に需要が増
えるので供給が間に合いません。

 直売所などはある程度融通が利くのですが、スーパーなどにな
るとそういう訳には行きません。また断るのが苦手なのが農家で
もあります。

 そこで急遽耕作面積の拡大、機械の導入となっていきます。あ
と追いする形での拡大が一番危ないところです。ひどいところに
なると桶買いしたります。

 手に負えない拡大は農家にとって不幸の始まりです。

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2006年07月06日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ③

 桶買いとは日本酒などの世界で使われる言葉で大手メーカーが
小さな蔵のお酒を桶ごと買い取り、自社のブランドとして販売す
ることです。言い換えると小さな蔵は大手の下請け状態になって
しまうということですね。

 先述したとおり、無理な拡大をした農家は桶買いするところも
出てきます。つまり他のお米・野菜を買って売るということです
ね。こうなってくると何のために農家になったのか分かりません。

 それだけ無理な拡大というのは農業には向いていないというこ
とです。土地や機械や人材を借金した上で広げる。自然相手の農
業ではリスクが大きすぎます。

 私自身、サービス業出身ですので当初から食べられる方に直売
したいと考えていました。そうしないと反応も返ってこないから
です。

 直売のいいところはこちらで量を調整することが出来るという
ところでしょうか。上記したように無理な拡大で桶買いしている
ところは結局スーパーさんなどに下請けになってもいるのです。
そうするとまたまた無理を聞かなければならなくなる。

 流通は一番川上と川下がもうかるように出来ているのではない
かと確信しています。

 今の形は種苗メーカー、農協が川上。小売業、農協、市場が川
下ということになるでしょうか。

 川上は卸す価格をコントロール出来、川下は買い取る価格をコ
ントロール出来る。これはもちろんすべての業種にあてはまる訳
ではありませんが、間に挟まれている農家に比べ川上と川下はあ
まりにも巨大な組織になってしまっているよう思います。このア
ンバランスさが元凶といってもいいでしょう。

 価格をコントロール出来る立場になるにはどうすればいいか。
そう考えました。

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2006年07月07日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ④

 一番の川下はなにせ食べられる方に直接届ける方法。つまり直
売です。よく相談されることで、また自分自身悩んだのが野菜や
漬物を販売するのに何か手続きが必要なのか?ということです。

 これやってみると簡単なことですが最初はどこに相談していい
のやら分かりません。一番簡単なのは地域の保健所に聞くのが一
番でしょうか。最初は何かやぶへびになるのでは?とか心配にな
りますがそんなことはありません。

 ちなみに野菜の販売には許可は必要なく、漬物の販売において
は許可は必要ありませんが、届けを出す必要があります。

 私の場合は飲食にいたということで調理師の免許をもっていま
したので、先を見越して菓子製造免許と惣菜免許をとりました。
これが後にかなり役に立つことになります。

 それぞれの免許ごとに調理台が必要なのです。私の場合は母屋
の車庫を改造して、つぶれた料理学校からいただいた調理台を設
置しました。まあ簡単なものですが検査はクリアしました。

 そう考えると野菜、漬物を販売するというのは非常に簡単なこ
とになります。(たまに保健所の悪いのにつかまるとうるさいで
すが・・)しかし漬物だとその先の展開が難しくライバルも多く
なるのが現状です。

 あえて農産加工物と表現すると漬物、餅加工は一番入り口でしょ
うか。これからは熱を通したもの、菓子の可能性は大きいと実感
しています。

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2006年07月10日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑤

 より川下に。そう考えた時、持っていてよかったな~と思えた
のが惣菜免許と脱気シーラー(空気を抜いて封をしてくれる機械)
でした。

 元々キムチからスタートした風来ですので加工は当たり前でし
たが、漬物だけとなると使用出来る野菜も限られてきます。また
これからの農家は加工も視野にいれるべきかなと実感しておりま
す。

 最近は農家も加工ばやり。一時期、付加価値をつけるの名のも
と漬物、餅加工、それに付随する農業加工施設も沢山出来ました。

 しかし加工したら何でも付加価値がつくかというとそれは間違
いです。例えば、大根1本が100円として1本から作れる大根の漬物
が1袋200円の販売で4袋作れるとしましょう。

 単純に考えると800円になりますので8倍の付加価値がつくと思
われがちです。ところがどっこいです。大きくやるとなると漬物
は市場ではひきとってくれませんのでスーパーなどとの取引にな
ります。そうなると半値八掛けが当たり前の世界ですので思った
ほどの売り上げにはなりません。

 そしてニーズです。大根そのものを買おうとした人は煮物やお
ろしやサラダなど色々な用途を浮かべて買います。もし大根を買
う人が10だとすると、漬物しかも味の好みの一致が必要となって
きますので買う人は0.5ぐらいになるのではないでしょうか。

 加工する場合はニーズのあるところに直接販売する。これしか
ないと考えました。これこそ一番川下ですし、それが一番強いと
実感しています。

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2006年07月11日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑥

  そう考えると農家の加工品はまだまだ農家の都合で考え出され
ているかと思います。野菜の産地で規格外品を有効利用する、捨
てるぐらいならという思いで加工品を作るのでニーズを無視した
ものを作ってしまっているというのもままあるかと思います。

 ニーズのあるところに直接販売となると一番いいのが、引き売
りです。引き売りとは野菜などをリアカー(今なら車かな)に載
せて売り歩くことです。

 商売を始めるのに引き売りほどいいものはないと思います。経
費的なものもありますが、何より鍛えられます。最初に売れた時
の感動はそのまま農にも通じてきます。引き売りが出来たらどん
な商売でも出来るのではないかと思ってます。そして引き売りが
出来れば、何か壁に当たった時もいざとなれば引き売りあると思
い切ったことが出来ます。

 そしてお客様の声を直に聞くことによって色々な発送も生まれ
てきます。

 ニーズといっても客に迎合するという訳ではありませんが、こ
ちらのこだわりが逆効果になることもままあります。例えばとあ
る漬物屋さんで、甘味をつけるのに人工甘味料を使っていないと
いう意味で「全糖○○」とありました。お客さんから見るとなん
て甘そうな・・と思われ敬遠されたそうです。

 そして権威や常識、情報番組などに一番弱いのは実は消費者で
はなくバイヤーなのです。そんなバイヤーの思い込みを間に通す
と双方の誤解が広がります。

 直に繋がると双方の安心感もあります。風来ではかかりつけの
医者ならぬ、かかりつけの農家になれればいいなという想いでやっ
ています。

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2006年07月12日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑦

 農家と消費者(この言い方は好きではありませんが)の間に卸
しや小売などが入ることによって互いの意志が伝わらないのはま
まあります。本来は生産者を想いを消費者に伝え、消費者のニー
ズを生産者に伝えるという情報こそが間に入るものの本来の役割
であるだけに今の状況は何かが違うといわざるを得ません。

 ちなみに市場に出荷する場合茄子を例にとると実に20以上の等
級があります。S・M・L・LLにそれぞれ優・良・可さらにと
いった具合です。

 じゃあ果たしてスーパーなんかにある茄子は同じ品種の場合何
種類並ぶでしょうか?せいぜい2種類といったところではないでしょ
うか。しかも市場の場合は見た目重視。もちろん見た目で中も分
かりますが、買われるお客さんにとっては違うのではないかと思
える部分もあります。

 また、野菜は品種改良が盛んで毎年新品種が続々と出てきます。
主な野菜の品種改良は何を目的で行われるか・・

 それは一番、見た目、形の揃い。例えば胡瓜の場合、規格箱に
丁度30本入るまっすぐさと細さという具合。2番目に多収量性。3
番目に味、4番目にようやく安全性でしょうか。そしてそういった
品種は化学肥料や農薬に頼らざるを得ないものになります。

 それに対し、昔からある在来品種は化学農薬が生まれる以前か
らある品種の生き残りですのでまず病害虫に強い、つまり農薬を
あまり使う必要がないので安全性が高い。そして日本人の口に合
うものが残ってきました。

 商品ではなく、命の糧である食として考えた時、何より大切な
のは安全性ではないでしょうか。そしておいしいということ。そ
れが最近は損なわれてきているよう思います。

 でも求められているのは確か。足りないのはキチンとした情報
です。そして情報の本来の意味は「情」を知らせるということ。
数値化したものを伝えるのは誰でも出来ます。数値化した以外の
ものを伝える。その為にはまず農家が自ら情報を出すことも必要
ですね。

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2006年07月13日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑧

 実際食べられる方と直接話しをする機会があるのはとてもいい
事です。先にも述べたように間に人が入るとお互いの伝わり方が
にぶくなります。

 お客様からの声はやる気にも繋がります。もちろんクレームな
どもあり大変なとこともありますがそれさえも、気付きや新商品
の開発のヒントにもなります。何より精神的にとても鍛えられる。

 長く続けていくために・・・。そんな中で難しいのが値段のつ
け方。特に農家は値段のつけ方がヘタな気がします。

 野菜という生鮮品なので目先のものをとにかくなくしたいとい
う気持ちは分かりますが、直売所などで茄子10個100円とか無茶苦
茶な値段で出されていることもままあります。そうかと思うと収
量が減った時期には急に高くしたりもします。

 そして虐げられてる被害者妄想があるせいか、少し持ち上げる
と止まらなくなる傾向にあるのも農家です。

 マスコミなどに取り上げられると舞い上がってしまい、勘違い
してしまう。ブランドになったと思って急に値上げをする。

 私自身がそうでした。しかしそんな時に思い出したのが師匠で
あるマスターの言葉。長くお付き合いしてもらえるかどうかとい
うことです。そしてマスコミにとりあげられても一過性であると
いうことも分かりました。

 まあ波に乗るチャンスととらえることも出来ますが、先述した
とおり自然相手の農は急に拡大出来ませんし、すると必ず無理が
きます。

 値段のつけ方。これこそこちらの姿勢が試される時です。

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2006年07月14日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑨

 丹精をこめて育てたものを出来る限り高く買ってもらいたいと
思うのも当然の人情だと思います。

 よく出来た農産物は芸術品だという方もいます。育てている立
場からいうと確かに「値段がつけられない」というぐらい苦労す
ること、そしてこだわりを注ぐこともあります。

 しかし農産物はそれと同時に日常品でなくてはなりません。そ
れこそが命をささえている産業の使命ではないかと思います。

 そしてこだわりの押し付けになりがちなのも農産物です。しか
しそんなこだわりも伝える努力をしなければ意味がありません。

 いずれにせよ食の場合は特に、その品質、その量、その値段で
また買ってもらえるか。それが基本だと思います。そして自分が
客の立場ならどうしたら買い続けるか?そんな冷静さも必要です。

 そして高く買ってくれるということで目が向きがちなのが人口
の多い、都会です。確かに都会の方はイメージも膨らむのである
程度高額でも一度は買ってくれるでしょう。

 しかし都会に目を向けて過ぎてはいけません。地域の人がリピー
トしてくれるようでなくては長く続きません。ましておいてある
場所によって大きく値段をかえるダブルスタンダードも長い目で
見れば信用を失います。

 余談ですが、どんなにマスコミなどに取り上げられていても地
域の評判の悪いところは長く続きません。これは農業に限らない
と思いますが、特に農業は土、そしてその土地に大きく左右され
ることを考えるとその地域あってこそのものだからです。

 足元を固める。簡単そうで一番難しいかもしれません。

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2006年07月18日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑩

  農産物は基本的にその性質上、収穫してから販売までの期間が
短ければ短いほどよい生鮮品です。もちろん穀物などは日持ちし
やすいものではありますが、手元になるだけおいておきたくない
というのが心情になります。

 そうすると、大量に販売するためにはどうしても市場や問屋の
手をかりなければなりません。サービス業出身の自分としては直
売が楽しいし、利幅もある、そして直接販売することによっての
安心感ははかりしれないものがあると思ってました。

 そこから直売出来る量を育てようと思うようになりました。漬
物加工などを含めて私の場合は最初に手がけた30アールが丁度良
いと思えてきました。

 スモールメリットについては以前にも書きましたが、農家の場
合は特に直売のメリットは大きいというのを実感しました。

 よく大量仕入れをすると原価が安く抑えられると思われがちで
すが、性格上、市場やスーパーなど間を通さなければならないの
で結果的にはひとつあたりのもうけは少なくなります。

 そこで計算してみたのですが、日本の農業の場合は人件費、機
械代、土地代が高いため規模拡大イコール収入UPに決して繋がら
ないことが分かりました。

 極端に言えば、今、慣行農業で市場に出荷している形式の農家
の場合、面積を半分にして直接販売した方が表面上の売り上げは
ともかく手元に残る収入は大きくなることが分かりました。

 そんなところから小さくてもやれるのではないかと思えるよう
になってきました。

 もちろん農業の場合は土地を守るという点もありますので簡単
には言えませんが、これから農家を目指す人には農業の場合、面
積拡大イコール規模拡大ではないし、収入アップに繋がるわけで
はないということを知ると、無理しなくてもいいと思えるのでは
ないでしょうか。

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2006年07月24日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑪

 先述したように今の日本農産物は川下と川上が一番利益があつ
くなるように出来ています。

 川下は直売か、もしくは自然食品店、農家直売店など小売店と
直接繋がるのがこれからのスタイルだと思う。

 さてそれでは川上はというと・・これもどんな産業より個人で
川上を押さえられるのが農業です。

 その前に川上と川下。その双方を押さえている大きな組織が日
本にあります。それはそうJA、つまり農協です。

 私自身は資材を買ったりすることもあるし、直売店を利用させ
てもらっていたりと敵対しているわけではなく(第一世代の有機
農業者は敵対の過去があったらしいですが)むしろ利用させても
らってますが、借金している訳でもなく、まあ距離をおいた関係
といえるでしょうか。

 しかし米農家、特に稲作兼業農家は大変だな~と思ってしまい
ます。何せ苗や除草剤、農薬を販売しつつ、刈り取った米の買い
手でもあります。つまり川上と川下をガッシリおさえられている
訳です。

 こうなると間の農家、しかも個人では声のあげようがありませ
ん。うちの近所でよくあるのが「カメムシ警報」が出ると何も言っ
ていないのに農薬が農家の家の前に置かれていきます。(もちろ
ん農家が購入します。)そしてそれを受け入れないとお米を引き
取ってもらえないのではないか・・と個人では思ってしまっても
しかたありません。

 もちろん農産物販売に力を入れたり、地域活性、環境保全に力
を入れている農協もありますが、最近はメインの農産物販売より
別のところに力が入っているようにも思えます。今一度何のため
にあるのか原点に立ち返ってもらいたいものです。

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2006年07月25日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑫

 さて川上。農業においての川上は仕入れや原材料という意味だ
けではありません。種や稲、肥料や農薬はもちろん、機械、土地、
人件費すべて含みます。

 日本の農業の場合はむしろ後半の機械、土地、人件費が非常に
高くつきます。そのあたりが日本の農産物が価格面で輸入ものに
負けるところです。

 まあ人の体を作りあげる命の元である農産物ですから、日本産
ぐらいの価格がしても安いくらいだと思いますが・・

 最初飲食の経験をしていた身としては川上、つまり原材料は種
や苗、資材だと思っていましたが、冷静に計算してみるとそうで
はありませんでした。むしろランニングコストというべき人件費
が一番かかります。

 話は逸れますが、そういった意味では農家が投資するべきは1年
のうち9割以上納屋で眠っている農業機械より人材。つまり自分自
身の知識、ネットワーク、見地を広める。そこへの投資が一番重
要だと思います。

 今は種苗メーカー、農薬メーカー、肥料メーカー、機械メーカー
が巨大になりすぎて、それらの手を借りないと農業が出来ないよ
うな錯覚になりますが、農は本来クワ一本で出来るものなのです。

 そんな原点を知るか、最初からあきらめるか。そのあたりが分
かれ道です。

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2006年07月26日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑬

  農家にとって直接的な川上、つまり原材料といえば「種」でしょ
うか。今野菜、米、花、さまざまな種類の種があります。

 品種改良もどんどん進んでいます。そしてまた収穫のことを考
えると非常に安価ともいえます。

 そういった意味ではわざわざ種とりしなくても買った方がよい
と思えますが、農家が種から直獲りする、出来ると安心感が違い
ます。大げさに言うと感覚的に自由になれる感があります。

 最初の頃は種のカタログを見つつ、これもいい、あれもいいと
思ってました。カタログには特徴や利点、お奨めのポイントなど
沢山書いてあります。

 しかしある日思ったのが、種苗メーカー、ひいては農家が求め
るよい品種と食べられる人の思う品種と想いが一致しているか?
ということです。

 これまでの農家が求めている品種というのは味でも安全性でも
ないのでは?と思えてきました。

 市場の評価は見た目が一番です。例えばきゅうりの場合まっす
ぐできゅうりの箱に30本ぴったり入るのが一番いいという訳です。

 つまり見た目が1番、収量2番、3番目に味で最後が安全性でしょ
うか。

 そしてまた見た目がよくて収量が穫れるように品種改良したも
のは自然農法にむかず、肥料や農薬を必要する場合が多々ありま
す。

 そしてまた今世界は種の独占化に向かってうごいています。そ
う考えるとこれからの「食」のためにも農家が独自で種をもつこ
とも意義があると思います。経済的な面からだけでなく精神的な
面でも川上をおさえるというのは必要なのかもしれません。

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2006年07月28日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑭

  農業を始める際に一番かかるのが機械代。あとは倉庫でしょう
か。これがネックで農業に金がかかるといわれる所以です。

 私自身独立した時には新規就農支援資金というのが存在すると
は知れませんでした。これは就農すると申告して審査に通ると上
限500万まで貸してくれるという制度です。

 無利子、しかも返済は5年後からというこのご時世、中小企業の
社長さんが聞いたら激怒しそうな制度です。まあそれだけ農家に
なり手がいないということでしょうか。

 元々借金するつもりはなかったので知らなくてよかったのです
が、あとから調べてみると改めて大変な制度であることが分かり
ました。

 500万を無利子で借りれるのですが、融資先の口座は農協になり
ます。また買い物も農協から買わなくてはならないという不文律
があります。(規定はないのですが、他で買おうとするとお金が3
ヶ月経っても半年経ってもおりてこないことが往々にしてあるよ
うです。)

 農協の資材は定価商売。機械メーカーやホームセンターで買う
より平均して2割高いというしろものです。

 つまり無利子といっても農協に2割、利子をおさめるようなもの
になります。う~む・・

 しかもそのお金を借りるともれなく指導もついてきて県の栽培
指針に従わざるを得なかったり、市場出荷を余儀なくされたりし
ます。

 お金を借りる。借りた金は当然ですが、返さなくてはなりませ
ん。機械代に対して農産物の単価のなんと安いこと。そのあたり
のバランスも重々考える必要があります。

 そしてお金を借りるとしがらみももれなく付いてきます。その
しがらみがイヤで風来は無借金でスタートする道を選びました。

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2006年07月31日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑮

  大きな機械を持たないと決めてから色々と工夫するようになり
ました。まあ最初の管理機(耕運機の小さいやつ)のあと、中古
のトラクターが格安で手に入ったのでそのトラクターが風来唯一
の農業機械といえるでしょうか。

 改めて考えてもらいたいのが農業における機械のあり方です。
普通の産業で何かに投資するという時には効率性、生産性をアッ
プさせる、その結果経済性をよくするというものだと思います。

 例えば工業機械であったりオフィスオートメーションであった
り。しかし農業機械というと一年のほとんどの日は納屋の中です。

 これは実感としてですが、農業機械の場合はこれがあれば効率
が上がるというのはもちろんありますが、それは限られた日数内
のことでして、「この大変な仕事をこのぐらいで代わってもらえ
るなら・・」という意味合いが大きいのではないでしょうか。

 実際、昔は田んぼというとこちらでは1枚7アール(0.7反)が標
準でその時はそれぞれの農家のもっている機械は小さいものでし
た、しかし基盤整備で1枚30アール(3反)になってから兼業農家
でも大きな機械を買うようになりました。元々もっているそれぞ
れの農家の田んぼの面積は合計すると変わっていない、むしろ小
さくなったにもかかわらずです。

 見渡す限りの畑、田んぼでは気が遠くなるのは分かります。風
来では少量多品種ですのでヘタすると1うねごとに作物が変わりま
す。そうするとひとつの工程がどの仕事も1時間ぐらいですので飽
きずに作業が出来ます。飽きないは商いに繋がるとはいいません
が農業を長く、楽しく続けていくにはとても大切なポイントだっ
たりします。

2006 07 31 | この記事へのリンク | トラックバック (0)


2006年08月01日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑯

  農業を始める時に思ったのがリスクの分散です。自然相手、し
かも技術のない自分にとって自然の脅威は怖いものでした。

 そういったリスクを減らすという観点でも品種改良、化学肥料、
農薬が出てきたところがあると思います。

 しかしサービス業の視点から、そして命の視点からみた自分に
とっては無農薬栽培しか視野にありませんでした。

 ところがまったくの素人で無農薬どころか農業技術もない。そ
んな中、リスクの分散はどんなことがあるかと考えました。出た
答えは小さな面積で少量多品種、そして直接販売ということでし
た。

 今日本の農業も集落営農など、規模拡大が進んでいます。しか
し自然相手の農は製造業と違って計算のたつものではないと思い
ます。そしてそのリスクに対してリターンが少ない。不作ももち
ろん、豊作すぎても喜べない、そんな現代農業の現実があります。

 少量多品種にすることによってリスクはかなり軽減されます。
そして野菜のセットの販売を直接するということによってある種
類の野菜が全滅しても他で補うことが出来ます。

 そして少量多品種ということで機械を使うことも少なくなりま
す。隣のうねに野菜がまだ植わっているのに隣でトラクターを動
かすわけにもいきません。

 副作用として多品種を育てることにより、害虫や病気の集中被
害もなくなっただけでなく天敵効果、連作障害の防止などにもな
りました。考えてみると自然界というのは色々なものが混ざって
いるんですよね。

2006 08 01 | この記事へのリンク | トラックバック (0)


2006年08月02日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑰

  以前も書きましたが、私は農業をサービス業の視点でスタート
しましたし、今もその視点で見ています。そしてサービス業の視
点で見ると農には沢山の可能性があると実感しています。

 サービス業とは人を幸せにする産業だとバーテン時代に師匠か
ら教わりました。そして人を幸せにするしている人はすべからく
その本人が幸せであると発見しました。

 農は人の命の元である食を育てる産業ということは、究極のサー
ビス業ともいえるのではないかというのが持論であります。

 小さく無理しない農業を実践していくうちに農のよいエッセン
スに気付いてきました。

 実感として農業は幸せに直結した、また幸せに一番近い産業だ
と思います。間に毛経済を介入させるのでややこしくなるだけで
す。実際、農家さんというのは経済的に苦しいなんていわれなが
らもどこか余裕があるよう思います。そこには食という安心感が
あるからかもしれません。逆に経済にとらわれすぎた農家さんは
苦しそうです。

 幸せに直結する農業。それが小さくやる農業ではないかと実践
して思いました。そこからミニマム主義はいいと自信をもって奨
められるようになりました。

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2006年08月07日

Ⅱ-5. ミニマム主義へ⑱

  独立して3年間はまだ作付けや育て方も安定せず、失敗の繰り返
しでした。それでもミニマム主義のおかげで大やけどせずにこれ
ました。

 4年目ぐらいからどの時期にどう種を蒔けばどう穫れるか、なん
てことも分かってきました。そしてその頃から作付け面積30aで食
べていく自信もつきました。

 畑の前に加工場兼店兼自宅を持つことも出来ました。販売形態
も一般小売店(スーパー)などから撤退し、直売または委託販売
(インショップや農家直売店)もしくは自然食品店になりました。

 直売の中で一番大きいのがネットでしょうか。独立した1年目の
冬、あまりに暇だったので農作業日記でも公開しようと何気なく
始めたものですがネット販売がなければ、風来も変わっていただ
だろうなと思います。

 農家とネットは相性がいいと思います。このあたりはまた後日
述べたいと思いますが地方からの情報発信という意味では農業に
まさるものはないのではないでしょうか。

 そんな訳で順風満帆 (小さいことは色々ありましたが、そんな
ことは忘れるという目出度い性格)、ただでさえ苦しいといわれ
る農業の中でこんな面積(こんな面積だからこそですが)で食べ
ていけている、それだけで自信満々でした。

 その頃は自分さえよければ良い、なんて考えもあったかと思い
ます。しかし青年塾というところに出会い、志を学び、改めてひ
とりでここまで来れた訳ではないと気付かされました。

 助けてくれた人だけじゃない、自然に生かされているというこ
とに気付いた時、恥ずかしくなりました。

 それからこのミニマム主義のやり方を広げていきたいと思える
ようになってきました。ミニマム主義ですから風来の規模を広げ
ていくとミニマムでなくなってしまいます。(笑)

 もっと身近に幸せはある、そんなことに気付けるのがミニマム
主義ではないかと思います。

2006 08 07 | この記事へのリンク | この記事へのコメント (1) | トラックバック (0)