毎日新聞1月5日

1月5日の毎日新聞(北陸版)で風来のことが紹介されました。
食の職人たち・北陸:「日本一小さい認定農業者」西田栄喜さん /石川
◆「日本一小さい認定農業者」西田栄喜さん(38)
 ◇無農薬野菜ネットで直売シンプルな経営基準を提案
 石川県能美市大成町にあるサッカーコート半分ほどの土地。「日本一小さい認定農業者」の西田栄喜さん(38)が、完全無農薬で50種類以上の野菜を育てている農地だ。
 収益性や生産計画を県が認める認定農業者としては最小となる約30アールの面積は、普通の農家なら一種類の作物しか育てないという。西田さんは現在、ここで育てた野菜などを既成の流通にのせず、インターネットなどによる直売だけで生計を立てている。直送のため、早ければ朝採った野菜が翌日には家庭に届く。
 「日本の農作物は流通コストがふくらみ、いびつな価格構造になっている。中間業者を省いて利益率を上げれば、この広さでもやっていけるんです」
 兼業農家の三男に生まれた西田さんは大学卒業後、バーテンダー、ホテルの支配人などを経て、「地に足をつけたい」と約10年前に故郷に戻ってきた。
 当初は好きな接客と食べ物を結びつけた飲食業を目指したが、気に入った食材が見つからず、自分で育てる道を選んだ。その際作物を選ぶ手がかりとなったのが、母美笑子さん(71)が長年作っていたキムチだった。
 「どうせ作るなら毎日食べたくなるキムチを」と白菜、にら、にんにくを選び、地元の農業関係者が教えてくれなかった無農薬栽培を独学で実践。数年の試行錯誤を経て収穫に成功した後、少しずつ作物の種類を増やしていった。
 ある程度の成功を収め、農業に対するユニークな取り組みに注目が集まると、利益の大きい取り引きの誘惑も舞い込んだという。
 しかし、「この大きさで直売でやるからこそ、納期や納品のストレスがない」と踏みとどまった。今では、売り上げが目標を超えた翌年は目標を下方修正するほどだという。
 西田さんの経営基準は、極めてシンプルだ。奥さんと子ども3人の家族5人が幸せに暮らせるだけの売り上げがあればいいという。
 「多くの人が、生活を少しシンプルにすれば、幸せになれると思う。自分のやり方は『お金がなくてもやっていける』という既成概念へのアンチテーゼでもあるんです」
 教えを請いに来た人には、隠さずオープンにする。「自分のやり方をできるだけ多くの人に広めたい。教育にこそ農業の可能性があると思うんです」。生産者と消費者、そして環境。すべてに安全で、みんなが幸せになれる農業を目指している。
  ◇   ◇
毎日新聞 2008年1月5日
http://mainichi.jp/area/ishikawa/archive/news/2008/01/05/…

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